10歳まで暮らしていた田舎で仲の良かった男の子が男の子じゃなかった。母の仕事の都合で引っ越してから6年振りに田舎へ帰ることになり…『私ちゃん!?私ちゃんだよね!!』

引用元:https://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1403334792/   ちょっと何言ってるか分からないかもしれませんが語らせてください。
私は、物心ついたときから母一人、子一人の母子家庭でした。
生まれてから10歳ぐらいまでは超ド田舎で暮らしていました。
周りにはお爺ちゃんお婆ちゃん、あとは田んぼぐらいしかありませんでした
田舎に住んでいたとき、私の家の隣にはとっても優しいお婆さんが住んでいました。
面倒見がよく、母が仕事で遅い時などはよくお家にお邪魔させてもらいました。
その孫にあたるのが、スレタイの男の子です。
いちいち男の子と書くのも面倒なので「ゆき」というあだ名を使うことにします。
ゆきは、何もない田舎での私の唯一の友達でした。
私はもともと、ちょっと勝気なところがありますが、ゆきはその正反対。
いつも静かに笑っていて私のあとからついてくるような、ちょっとオドオドした子でした。
私はいつもゆきを引き連れ、色々なことをして遊びました。
ゆきのお婆さんも「孫が二人できたみたいねー」なんて言っていましたw
ゆきと一緒にいたのは、大体5~10歳のときでした。
私が10歳の時、母が街へ出て仕事をしたいと言い始めたのです。
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これまでより多くのお給料が貰え、暮らしも安定するはずだ、と。
女で一つで私を育てる母の苦渋の末の決断でした。
小さかった私はそれが分からず「引越しなんかしたくないぃいいー!!」と泣き喚きました。
しかし、母の決定は変わらず…私は田舎から離れ県の中心部へ引越しすることに。
引越しをすることをゆきに伝えた時、彼は私以上に大泣きしましたw
「私ちゃんがいなくなったら、俺、誰と遊べばいいの?」とか
「俺も町に引越しするー、一緒がいいー」などなど。
見てるこっちの涙が引くほど、豪快なだだっこぶりでしたww
私は「何か情けねーなコイツ」と思い、泣きじゃくるゆきを置いて、さっさと引越し準備に入りました。
そんなこんなで引越し当日
空っぽになった家に、ゆきが別れの挨拶をしに来ました。玄関先でもじもじするゆき。
私は「おもちゃの整理があるから早く用件を言え」とかなりツンツンした態度でしたw
ゆきは真っ赤に腫れ上がった目で引越しトラックを見て「本当に行っちゃうんだねー」とぽつり。
私 「うん。あともう少しで行く」
ゆき「私ちゃん、寂しくないの?」
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私 「ちょこっとだけwでも、町にはお友達いっぱいいるってママが言ってたw」
ゆき「ここには、おらんもん…」ナミダメ
私 「そんなことないじゃん、小学校にはいっぱいお友達いるじゃん」
ゆき「でも私ちゃんはいないもん」
往生際が悪いゆき。私はそれっきりまた、拗ねたように口を閉ざしたゆきを放って置いて準備をしました。
衣装ケースを運んでいると、スカートが落ちました。
私は「これ、もう着れないからいらない。ゆきにあげようかww」と冗談を言ってみました。
するとゆきは「えっ、本当!貰っていいの!?」と、何故かめちゃめちゃ嬉しそうに。
私 「男の子なのにスカートもっとくのwおかしーw」
ゆき「いや、もうこれ貰った。俺のだから触らないで」
ゆきは頑なに、スカートを抱きしめて離しませんでした。
結局、時間になって私は車に乗り込みました。
ゆきは左手にスカート、右手は婆ちゃんに握られるという情けない格好でした。
車から身を乗り出して「ばいばーい」と叫ぶと
鼻水を噴出しながら「ばいばいぃいいい゛ぃいい゛」と藤原竜也化していましたw
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あとでまた振り返ると、スカートで鼻水拭いてたwwなんて奴でしょうw
そんなこんなで、引越しが完了。引越ししてからしばらくは、ゆきから怒涛の電話攻撃、手紙攻撃がありましたw
母は安定し、割と早く家に帰れる仕事になり、私の寂しさは薄れていきました。
だから、ゆきが居なくなった寂しさも、かなり早くになくなりましたw
…のくせに、ほぼ毎日かかってくる電話。
ゆき「もしもし私ちゃん」
私 「またゆきかwwww」
ゆき「そっちの学校、どう?楽しい?」
私 「うん。もう友達いっぱいできたよー」
ゆき「…なにそれ、ずるい」
私 「ゆきの小学校もクラス替えあったよね?どうだった?」
ゆき「あんまり」
もともとコミュ症?っぽかったゆきは、私が居なくなった事で病状が悪化。
小規模な田舎学校のくせに、なかなか友達ができないらしく…
ゆき「私ちゃん、もう帰ってこないの?」
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私 「しつこいwwそうだってば」
ゆき「私ちゃんおらんと、楽しくないや…」
ゆきはかなり引きずっていて、とにかくしつこかったw
しかし2,3ヶ月経つと流石のあいつにも友達ができたようでした。
電話もほとんどしてこなくなり、ゆきの存在はだんだん埋もれていきました。
それでも、年に2,3回手紙は律儀に届きましたし、年に1回くらいは遊びに行っていました。
しかし、それも中学校進学と同時に終わってしまいます。
私は市立の中学へ、ゆきは地元の中学へ。
こう、中学校になるといよいよ大人?という感じで、自然と男女の溝ができてしまいます。
入学式の終わりに、家の電話が鳴りました。出てみると、ゆきでした。
ゆき「もしもし、俺」
久々に聞いたゆきの声は、あまり変わっていなくて相変わらず少女のようでした。
なんとなく緊張して
私 「あ、ああ…。おひさしぶりです」
ゆき「ちょ、他人行儀な」
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私 「いや…」
ゆき「俺たち、もう中学生だねー」
私 「そうっすね」
ゆき「…元気?」
私 「うん、元気」
ゆき「俺も」
私 「学校、どう?」
ゆき「まだなんとも言えないわ」
私 「だよね」
ゆき「…」
私「…」
<ユキー、ゴハンー
ゆき「あ、呼んでる。じゃあね、●●(私の苗字)」
私「あ、うん」
これが多分、最後の電話の内容。会話内容とかは、かなりうろ覚えですが…5分もなかったはず。
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印象的だったのが、最後に「私ちゃん」ではなく私の事を苗字で呼んだことでした。
それから、彼からの連絡はなくなりました。
それから、私の中学校生活が始まります。が、特になにもありません。
部活には一応、美術部に入り、友達にもまあまあ恵まれました。
派手な女の子、という訳には行きませんでしたが…。
頭は普通だったので、中学校3年生になったとき高校は偏差値的にも普通のところを選びました。
この3年間、正直、ゆきのことは忘れていましたw
そして無事、高校に合格して晴れて女子高生に。何事もなく、高校生活を送っていました。
そんなとき、お母さんに異変が。もともと体は丈夫な方でしたが風邪のような症状が出始めました。
顔色が悪く、いかにも具合が悪そうでした。
家に帰ってきても、疲れているのに眠れないことがよくありました。
過労による、病気でした(詳しいことは、なんとなくふせておきます)
結局、母は入院することになりました。
私が16歳の、夏休み目前のことです。すごくショックでした。
私が何も考えず、ただただ高校生活を送っていたのに対し母は身を削って働いていてくれた。
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それが身に染みて分かりました。あの時ほど、自分のことを情けなく思ったことはありません。
病院で、母は心配そうに言いました。
母「入院かぁー…。大分家あけることになるね」
私「うん…」
母「ごめんねぇ」
私「何で謝るの」
母「いや、あんたもうすぐ夏休みだけど、どうやって暮らしていくのよ」
私「」
そうです。母子家庭の私にとって、母がいなくなる=ぼっち です。これは本当に由々しき問題でした。
母の入院は一ヶ月程度、ちょうど夏休みと被ります。その間、私はどう生きていけば…?
私「…一人暮らし、できるかも。一応家事は全部できるし」
母「ダメにきまってんでしょーが」
子供の浅知恵は、母に一蹴されてしまいました。
ではどうすれば…?どうしようもなく不安になっていると、母はどこかに電話かけました。
私「何の電話」
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母「んー、あんたね、●●のおばちゃんって覚えてる?」
●●のおばちゃんとは、私の親戚のおばちゃんです。
私が以前住んでいた、ゆきのいる田舎に一人暮らししている女性でした。
私「あー、うんうん。覚えてるよ」
母「あんた、そこに行きなさい。夏休みの間、そこで暮らしなさい」
私「えっw」
母「えっ、じゃないが!迷惑かけるんじゃねーぞ!」
なんと。私はおよそ6年ぶりに、あの田舎に住むことになってしまいましたw
夏休み当日、私はおばちゃんの家にお引越し?しました。
まあ、持つものと言えば勉強道具と服と小物ぐらいでした。
おばちゃんは、迷惑そうなそぶりを全く見せず、寧ろ嬉しそうに歓迎してくれました。
しかも私の部屋として、使わない部屋をあてがってくれました。
部屋の片づけが終わると、ゆきの家に行って挨拶をしました。
お婆ちゃんは、久々の再開に号泣w
それとなくゆきの事を聞いてみると、なんと部活に行ってるのだそう。
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私 「将棋部とかですかww」
お婆「いんにゃ、バスケよ」
私 「!!!?wwww!?」
ゆきがwwあのゆきがバスケwwあまりにも意外な組み合わせでしたww
お婆ちゃんの話によれば、ゆきは近くの高校に通い成績優秀で部活もがんばってるそう。
ただ、唯一の悩みが「女っ気がない」ということらしく。
中学、高校と全く色気がなかったようでした。これには何となく、納得。
夕方まで色々世間話をしていると、ゆきが帰ってくる音がしました。
思わず緊張し、ガチガチになってしまいました。
正座のまま、居間にいると、ゆきがひょこっと戸から顔を出してきました。
ゆき「え」
お婆「ニヤニヤ」
お婆「ゆき、私ちゃんよwwww」
私 「ド、ドモ…」
ゆきは、大絶叫していましたwwゆきは顔を真っ赤にしてあたふたし
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「私ちゃん!?私ちゃんだよね!!」と絶叫し続けました。
あまりのテンションの高さにびびっているとゆきは興奮した様子で、
「大きくなったね!髪のびた!?眼鏡になってるぅうう」とまくしたててきましたw
ちょっと落ち着け、とお婆ちゃんにたしなめられて、やっと座りましたw
テーブルを挟んで向かい合わせになったのですが、深呼吸の鼻息がうるさかったw
私も落ち着いて、彼をよくよく見てみました。
背は、伸びていて、体も少し筋肉質になっていました。
(それでも、スポーツをやっている人間にしては、ヒョロかったようなw)
問題は顔でした。誰だこのイケメソはwwwwww
もう、ビックリするほど綺麗な顔立ちになっていらっしゃいました。
幼い頃から目が私よりも大きく、顔も小さかったのですが全く劣化していませんでした。
肩身が狭いwwwうはwwwもうとにかく久しぶりすぎて、何も言えない私。
しかしゆきのマイペースっぷりは全く変わっていなかったw
私が緊張しているのを気にせず、ベラベラと喋る喋る。
(ゆきは昔から、興奮すると早口でまくしたてるクセがあったのでw)
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ゆき「中学校くらいのときだよね?最後に話したの!」
私 「ハ、ハヒ」
ゆき「俺、中学校に入ってから、色々頑張ったんだよw」
  「運動とかも始めたし、勉強も頑張ったしw」
私 「ソ、ソデシュカ」
ゆき「いやー懐かしいなー、そういえば、私ちゃんは部活何やってるの?」
私 「ビ、ビジュツ」
ゆき「ええええ、すっげぇええ!絵、見せて!描いて描いて!」
私 「」
正直、苦手なノリでしたww
ゆきの奴は、バスケという青春スポーツを通して立派なリア充へとメガ進化していましたw
ゆきからの口撃をコミュ障な返事でボソボソと返していると、何時の間にか夜に。
その日は、ここで夕ご飯をご馳走になりました。帰るとき、ゆきが送ってくれました。
かえるや、虫の音が懐かしかった。暗いあぜ道を二人で並んで歩きました。
おばちゃん家に帰ると、おばちゃんがスイカを用意していて、ゆきを家に引きずり込みました。
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二人でテレビを見ながらスイカを食べていると、ゆきが「部屋を見たい」と言い出しました。
別に断る理由もないか…と思い案内すると、何故かゆきは「すげーw」を連発していました。
今思えば、緊張してぶっきらぼうになっていた私を、解そうとしていてくれたのかもw
ゆきは一通り机やポスターなんかを見た後、本棚に目をつけました。
ゆき「あ、これ俺も好きな漫画だー私ってこんな難しい小説も読むんだーすげー」
勝手に漁っていくゆき。その手が、ファッション雑誌の前で止まりました。
すると、今まで口を挟む隙もなく話していた声が、ぴたりと止みました。
ゆきはおもむろに一冊雑誌を抜き、興味深そうにしげしげと見つめました。
ゆきはしばらく雑誌を読んで「…すげー、都会の子ってこんな派手な格好してるんだねw」
私 「いやいや、ここの女の子もこんな感じじゃないかな…」
ゆき「いやー、多分違うと思うw町には、こんな子いっぱいいる?」
私 「うん。皆引くほどおしゃれ」
ゆき「…私ちゃんも、こんな格好する?」
ゆきが見せてきたのは、花柄やピンク、レースといったいかにも女の子っぽい服のページ。
私 「まあ、ここまで派手じゃないけど…」
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ゆき「へー。すげー」
な  に  が  ?  馬鹿にしてるのか?
少しイラっとしていると、ゆきは本棚の前に座り込んで本格的に読みふけりはじめました。
20分くらい、私をほったらかしにして、ゆきは雑誌を読み続けました。
その横顔は、どことなく嬉しそうな、楽しそうなかんじがしました。
雰囲気に圧倒されて、何も言えないでいると、おばちゃんから声をかけられました。
ゆきは、ビクっとして、慌てて本棚に雑誌を戻しました。
私「可愛い子でもいたの?w」
少し冗談めかして聞くと、ゆきは何故か眉間に皺を寄せ「うーん?」と言っていました。
結局、ゆきはそのまま、そそくさと帰ってしまいました。
それから暫く、平和な田舎の時間が過ぎていきました。
ゆきは朝から昼は部活に行き、昼ご飯のころには帰ってきました。
昔みたいに一緒にご飯を食べ、漫画なんかを読んだりしていくうちに緊張も解けていきました。
ゆきは驚くほど頭がよく、勉強なんかも見てもらいました。
男の子とこんな夏休みを過ごしたことはなかったので、毎日が新鮮でしたw
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そんなある日、私はお婆ちゃんの提案で、ゆきの部活風景を冷やかしに行きました。
体育館の外から、ちらっとゆきを見てみると彼は少し細い体を揺らしながら、一生懸命プレーしていました。
もう、なんというか、かなり格好よかったw悔しいですが、喪女は簡単に乙女心にwwww
しかし、あれです。ゆきは格好よく、頭もよく人当たりも良い。
どうせライバルなんて山のようにいるのだろうと思うと、
なんか恋に落ちる寸前で自制がかかりました。
ゆきに対して、どうにも煮え切らない思いを抱えたまま日々は過ぎていきました。
ある日、割と近くで夏祭りがあるのだとおばちゃんが言ってきました。
おば「ゆき君と二人で行ってこんねwwwww」
私 「」
おば「浴衣貸してあげるからwwwww」
君のように、勘のいいおばちゃんは嫌いだよ…。
そわそわしつつ、ゆきに話題を振ってみました。
私 「あのさー」
ゆき「んー?」
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私 「××で夏祭りあるみたい」
ゆき「あー、知ってるよ。行こうか」
私 「」
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
喪女、初めて男子に夏祭りのお誘いを受けるwwwwwwwwww
しかし、ここは冷静にと思い、さらりと「あ、じゃー行こう」という
全く可愛げのない言葉で返してしまいましたw
夏祭り当日、私は約束どおりおばちゃんに浴衣を借りました。
白地にピンクの花があるやつで、すごく綺麗で高そうでした。喪女にはモッタイネ。
おばちゃんは張り切って、似た生地の巾着も用意してくれました。
さらにさらに、どこで学んだのか、あのうなじが見える色っぽいお団子まで結ってくれましたw
おばちゃん、結婚してくれ…。
ゆきの家に行くと、ゆきはあった瞬間、大きく目を見開きました。
恥ずかしくて恥ずかしくて、消えたかったw
ゆきはポカンとしたまま、じろじろと上から下まで見つめてきました。
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私 「いや、見すぎです」
ゆき「すげー、私ちゃんじゃないみたいww誰w」
私 「…」
そりゃ、おばちゃんのお節介で人生初のお化粧までしてますし。
ゆきは一通りすげー、を繰り返しました。いたたまれなくなって、さっさとバス停へ引張っていきました。
夏祭りの間、ゆきはちらちらと髪を見てきたり、下駄を見てきたり…。
まさか。いやいやいや、まさかって何だwwww
もう本当に、本当にチラっとだけ、ゆきは私に見とれているんじゃないかと勘違いしましたw
もう、タヒぬほどドキドキしましたw柄にもなくww
ゆきにたこ焼きやら、カキ氷やら勧められても全く喉を通らないほどでしたwあああ、思い出しても恥ずかしいですw
そんなこんなで小規模のお祭りを堪能し、私とゆきは帰ってきました。
気になったのは、ゆきが、ずっと私を見ていること。
たまにゆきの方に顔を向けると、パッと顔をそらすのですが、視線は痛いほど刺さってきました。
ドギマギしながら、おばちゃんの家へ帰ろうとすると、ゆきが申し訳なさそうに言いました。
ゆき「なぁ、私ちゃんまだ時間大丈夫?」
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私 「え、なんでw」
ゆき「いやぁ…。ちょっと家こない?」
私 「何で?」
ゆき「いや…」
どうも歯切れが悪いゆき。確かに予定はないので、私はのこのこ付いていきました。
家にはお婆ちゃんがいましたし。
ゆきは、自分の部屋に私を入れました。
いきなり後ろに回って、ドアを閉め、カーテンも全部閉めました。
何だ、何だと焦っていると、ゆきはいきなり部屋の真ん中に正座しました。
私 「え、どうしたw」
ゆき「…ちょっと大事な話ある」
ゆきは何時になく深刻な顔をして、唇を噛んでいました。無言のまま、何分か経ちました。
いきなりゆきが、立ち上がりました。
思わず何かされるのか(すみません)と身構えましたが、ゆきは私をスルーして、たんすへ。
しばらくゴソゴソと中をかき混ぜて
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ゆき「…私ちゃんさぁ、覚えてる?」
私 「何を」
ゆき「引越しのときさぁ、俺、私ちゃんに服貰ったよね」
ゆきは恥ずかしそうに俯いたまま言いました。
私はすぐ、ゆきにあげたスカートを思い出しました。
私 「覚えてるよ。いらないからスカート押し付けたね」
ゆき「うん…」
私 「だから何?」
ゆきの動きがぴたっと止まりました。それからゆっくり深呼吸を繰り返しました。
ゆきはおもむろに、たんすからビニール袋を出してきました。小さなスカートでした。
私が10歳の頃にはいていた、ゆきにあげたものでした。
私 「まだ持ってたの?」
ゆきはぎこちなく頷きました。スカートは皺一つなく、綺麗なままでした。
私 「どうして、こんなもの大事にとってるの?」
ゆき「…」
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ゆきは暫く黙っていました。いらいらして、少し強めに先を促すと決心したように言いました。
「私ちゃん、その浴衣、俺に着せて」
はい?ゆきの話したことを要約すると昔から、女の子の服に興味があった。
私から貰ったスカートを一回はいてみたとき、その気持ちに気付いたんだそう。
私ちゃんの浴衣が綺麗で、我慢が出来なくなった。一回で良いから俺もこういうのを着てみたい。
告白かと思っていた私涙目wwwwwもう呆然でした。
私 「え、女装趣味…?」
ゆき「そうなるね。でも、私ちゃんになら話せると思って」
私 「…」
ゆき「ごめんね、引くよね」
私 「いやいやいや」
確かに驚きはありました。しかし、嫌悪感はありませんでした。
むしろ、美形のゆきが浴衣を着たほうがいいような…。
あまりにも衝撃的な告白で、私自身もぽーっとしてしまい、
私 「…いや、別に。いいけど」
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ゆき「まっじで!!!!?やったあああ」
私 「明日、明日の夕方ならいいよ」
ゆき「うん!ありがとう私ちゃん!大好き!」
ゆきは見たこともないくらい、喜んでいました。
その姿がすごく無邪気で、不思議なくらい納得してしまいました。
「ゆきは、男の子だけど男の子じゃないんだなー」と
次の日の夕方、うきうきしたゆきが家にやってきました。
窓から直接部屋にあがらせ、浴衣を広げて見せました。
ゆきは、溜息をついて、うっとりしていました。
私 「着かた、分かる分けないよね?」
ゆき「うん、分からん…」
仕方がなく、服を脱いでもらって私が着付けをしました。
恋に落ちかけた男の裸でしたが、全くドキドキしなかったなw
帯を結んで、姿見を持ってきてあげました。
ゆきは感動したように、言葉を詰まらせていました。何度も何度もくるくる回っていました。
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しかし、いくら美形といえども男にそのまま浴衣を着せたって
ただの「女物の浴衣を着たゆき」で何となく、脱力して笑ってしまいましたw
ゆきもそのことに気付いたようでしたが、化粧やら髪やらは注文してきませんでした。
まだ、少し抵抗感があったのかなー。
私 「ゆきは、心が女の子ってことなの?」
ゆき「いや、多分違う。別に、男が好きだとかはない」
ゆき「ただ、女の子の服が着たいだけなんだと思うw」
すっきりしたように、彼は笑っていました。結局ゆきは自分の女装姿を一時間ほど堪能して、帰りました。
それからというもの、秘密を共有した私とゆきは、さらにうちとけました。
マツコデラックスとゆきをあわせ、マツゆきなんていうあだ名なんかもできましたw
ゆきは、吐き出してすっきりしたのか自分の中の「女の子」の部分?をあまり隠さなくなりました。
私の前でだけは、ちょっと髪を結んでみたり、なんてかんじです。
だんだん、私も慣れてきて、一緒にファッション雑誌を読んだりなんかもしました。
ある日、珍しくゆきの部活がない日、ゆきが普段着も着てみたい、と言いました。
浴衣の件以来のことだったので少しびっくりしましたがゆきの必タヒのお願いに私も折れました。
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この頃には私は、ゆきの女装を手つだってあげたいという気持ちが大きくなっていました。
前回浴衣を貸したときは、やっぱり違和感があったことを思い出しました。
私 「貸しても良いけど、それなりのクオリティが欲しいよね」
ゆき「あー、たしかに…」
私 「前の浴衣は、何かやっぱり、ゆき!って感じだったよね…。女ってかんじじゃなかった」
ゆき「ひでぇ」
私 「やっぱり、ウィッグとか化粧とかもしたほうがいいよ」
ゆき「持ってる?」
私 「ううん」
どうしたものか、と困った顔をするゆき。私は、こう提案してみました。
私 「…町に買いに行ってみる?」
ゆき「えっ」
私 「女装したままで」
ゆき「えwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ゆきはもの凄く嫌がっていました。しかし、私はテンションマックス。
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ゆきにワンピースとストッキングを着せて、町へでかけました。
周りの視線を気にしながら、おどおどとしているゆきに申し訳ありませんが笑ってしまいましたw
私 「大丈夫、絶対ばれないwww」
ゆき「無理、無理!やばいよ、風とか吹いたら絶対やばい」
私 「wwwwwwwwww」
そんなこんなで、ウィッグと化粧品を買いました。
化粧品は全くの素人だったので、店員さんに聞きましたが、そのときのゆきも面白かったw
店員さんに好みの色を聞かれて、すごくキョドってましたw
結局、ゆきの心配に反して誰にもばれることなく買い物を終えました。
なんだか、妹ができたみたいで楽しかったw
帰ってきて、ゆきは早速ウィッグをつけました。本当に女の子っぽくて、劣等感を感じました。
感心していると、ゆきは私にも化粧をするよう促してきました。
雑誌を見て練習?していたのか、ゆきはすいすい化粧をしていきます。
女なのに、私は全く上手くできませんでした。
ゆき「私ちゃんへたくそwwww」
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私 「黙れマツゆき」
ゆき「ちょっと貸してみw」
ゆきは、道具を取り上げて、私の顔に化粧をしてくれました。普通なら、きっと断っていたでしょう。
けど、何故かこの日だけは、異常なほど親密な雰囲気だったので、なんとなく受け入れました。
ゆきは、丁寧に眉を描いたり、チークを塗ったりしていきました。
顔が近くて、多分お互いの息がかかっていたかもしれません。二人とも無言でした。
わたしはゆきにされるがままでした。ゆきは、リップを塗ろうとして、少し動きを止めました。
あー、流石にリップはダメだよなーと、ぼんやり思っていると
ゆきは急にリップを置いて、私のほっぺたを両手で包みました。
気付いたら、キスされていました。え?なにこれwwwと思いました。
一瞬、何が起こったか分かりませんでした。多分、ものすごいマヌケ面だったと思います。
しばらくして、ゆきは唇を離しました。 
私 「え、何?」
ゆき「…ごめん」
私 「え、ごめんって何」
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ゆき「…しちゃった」
私 「何が」
ゆき「キスw」
…はい?言われてから、いきなり体がぶわーっと熱くなり、涙が出てきました。
なんか、怒りに似た感情がこみあげてきて、でも、何も言えませんでした。
ゆき「ごめん」
私 「いや、ごめんとかじゃないでしょ」
ゆき「つい」
私 「ふざっけんな」
恥ずかしくて、気が動転しすぎて、私は思いっきりゆきを押しのけました。
の、はずが、ゆきの体はびくともしませんでした。
一人であたふたする私に対し、ゆきはびっくりするほど冷静でした。
ゆき「私ちゃん、ごめんってば」
私 「帰れ!帰れオカマ!」
ゆき「騒いだら、人来ちゃうよ」
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ゆきは、今度は私の手首を掴んできました。
振りほどこうとすると、ギュっと力が入って引き寄せられました。また、ゆきにキスをされていました。
びっくりしてもがくと、そのまま抱きしめられました。力が強くて、全く動かない。
ゆきは首の角度を変える?みたいにして、唇を甘噛みしてきました。
全身に鳥肌がたち、力が抜けていきました。ゆきは何度も何度も、音を立ててキスをしてきました。
完全に放心状態で、されるがままになっていると、ゆきはキスを止め
わたしの肩に顎を乗せ、耳元に顔を寄せて、一層強くぎゅーっとしてきました。
体が熱くて、呼吸が荒かったので多分興奮していたんだと思います。
ゆきは、今まで聞いたこともない甘えた声で私の名前を呼びました。
そこでハッとなって、おもいっきりゆきの後ろ髪を引っ張りました。
ゆきは悲鳴をあげて、床に転がりました。ダッシュで離れ、呼吸を整えました。
ゆきは暫く悶絶していました。私はとにかく窓側にまわり距離をとりました。
ゆき「いてぇー…私ちゃん、これ抜けてるでしょ絶対」
私 「うるさい、黙れ、喋るな、なんでこんなことした」
ゆき「ごめん、我慢できなくなった」
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私 「なななななななにが」
もう足も口もがたがたで、言葉にできませんでした。ゆきは申し訳なさそうでした。
ゆき「私ちゃん、怖かった?」
私 「違う、びっくりした」
ゆき「嫌だった?」
私 「当たり前だろ、ふざけんなふざけんなふざけんな」
ゆき「でも私ちゃん、ちゅーしたとき、ちょっと、とろんってしてたよ」
私激昂。しかし、人間って動転しすぎると、言葉すら出なくなるものでした。
腰が抜けて、座り込んでいると、ゆきが近づいてきました。
思わず身を堅くすると、ゆきは「ごめん、もうしない。本当ごめん」と眉を下げた犬みたいな顔で謝ってきました。
私 「な、何でこんなことしたの」
ゆき「え、好きだったから」
私 「なんで」
ゆき「何でも何も…私ちゃんが好きだし」
私 「意味分からん」
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ゆき「俺も、何でこんなことしたのか分からないや。本当ごめん」
私 「そうか、帰れ」
ゆき「うん。ごめん」
その日、ゆきはすごすごと退散していきました。
呆然として部屋から出ると、おばちゃんが「何その顔wwww」と笑ってきました。
鏡を見ると、汗や涙で顔がわけ分からん状態になっていました。
夜になって携帯を見ると、ゆきからメールがきていました。
「今日はほんとうにごめん、でも、私ちゃんが好きです」
「驚かせてごめんなさい。反省しています。責任をとるので、付き合ってください」
謙虚なのか図々しいのか不明なメールでした。ぼんやりと、奴も動揺してるのかなーと思いました。
「市ね」一言だけ返信して布団に入りましたが、その日は全く眠れませんでした。
次の日、起きたのはいつもよりずっと遅くの時間でした。
迷った末に、ゆきに「昨日のなに?」とメールを送ってみましたが、返信が何時間待っても来ない。
ああ、部活だわ。と気付きました。しかし、気になって気になってしかたなかった。謎でした。
なんでこんな、派手でもなければ色気もない幼馴染にキスなんかしたのでしょうか。
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男子特有のあれだったのでしょうか。それにしても妥協しすぎじゃないか…
こんなことをぐるぐる考えていると、昼頃にメールが来ました。
「会って話したいんだけど、いいですか?」
警戒心は十分にあったので、公民館の近くに呼び出しました。
木の下で、いらいらしながら待っていると、奴が走ってきました。
ゆき「ごめん、遅くなった」
私 「メールしたほうが遅れるとか」
ゆき「申し訳ないです。お詫びです、私様」
ゆきはコンビニの袋を渡してきました。なんと、ハーゲンダッツのバニラが入っていました!
少し気をよくして、アイスをいただいていると、ゆきがじっと見てきました。
ゆき「それでさ」
私 「何すか」モグモグ
ゆき「昨日のこと…」
私 「ああ、メダパニ」
ゆき「メダパニって…。一応、本気だったんだけど」
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私 「きもい」モグモグ
ゆき「酷い…」
しばらく放置し、アイスを頬張っていると、ゆきが隣に腰掛けました。
あーん、と口を開けてきたので、アイスを掬って口に入れるふりをして、抜いた雑草をぶちこみました。
ゆき「くぁwせdrftgyふじこ」
私 「wwwwwwwwwww」
ゆき「はにふんだよ!!!」
ゆきは涙目で、口を濯いでいました。
しばらくハーゲンダッツを見つめていましたが、空になると諦めたように
ゆき「昨日のメール、ちゃんと読んだの」
私 「ううん」
ゆき「!な、なんで」
私 「うそ。読んだ」
ゆき「え、じゃあ、じゃあ返事は…?」
ゆきは今にも泣きそうな顔でこっちを見てきました。何も言えませんでした。
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私 「…いやー、釣り合わないよ」
ゆき「私ちゃんに俺が?」
私 「逆だよ馬鹿か」
ゆき「なんで。そんなことない」
私 「いーや、あるね。ゆきの顔と性格なら、もっと可愛い子彼女にできるって」
我ながらひねくれた返事でした。
ゆき「私ちゃんは可愛いもん」
私 「そういうお世辞がいっちばん嫌い」
ゆき「俺から見たら、可愛い」
私 「眼科行け眼科」
ゆき「俺視力AA。私ちゃんと違って」
私 「とにかく無理、ってかダメ」
ゆき「どうして…」
私 「だから、ゆきと私じゃレベルが違いすぎるから」
ゆき「…俺が、女装趣味だから?」
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ハーゲンダッツ噴出するかと思った。
私 「そういう理由じゃない、絶対違う!」
ゆき「そっか。何か安心したw」
私 「…」
ゆき「それじゃあ、あの理由じゃ納得できないんだけど」
ゆき「レベル云々とかじゃなくて、こう、違うでしょ。上手くいえないけど」
私 「…んー」
ゆき「私ちゃんは、俺の事嫌い?」
私 「…普通」
ゆき「普通かー…じゃあ、これから何をすれば好きになってくれる?」
私 「必タヒか」
ゆき「当たり前じゃん。本当に、本当に好きなんだもん」
私 「…」
なにこいつ、恥ずかしい。最初はもちろん、笑いながら断るつもりでした。
けどゆきは、こんな私に、可愛そうなくらい必タヒでした。
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ゆき「…やっぱ、嫌?」
私「…」かわいいなーと思いました。犬みたいで。
ゆきはしょんぼりして、うつむいてしまいました。
胸が痛くなるくらい、その顔が切なげで、どうしていいか分からなくなりました。
慰めようと、ゆきの頭に手を載せ、わしゃわしゃしていました。
ゆき「ちょww犬ですかww」
私 「うん、犬みたいww」
ゆきは笑いながら、おふざけに付き合ってくれました。その顔は、絶対無理して笑っていました。
気付いた時には、私はゆきを抱きしめていました。
ゆきは、私の腕の中で硬直していました。ゆきの、汗と制汗剤の匂いがしました。
ゆきはその硬直もつかの間、すぐに私の背中に手を回してきました。
苦しそうに荒く息をしながら、ぎゅーっと抱きしめてきました。
ゆきは何度も、私の名前を呼んできました。ゆきの声は掠れていて、情けなかった。
私は、ゆきの頭をぽんぽんしながら、ゆきの呼ぶ声に返事をしていました。
やがてゆきは、焦れたように言いました。
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ゆき「私ちゃん…」
私 「はい」
ゆき「俺、好きなんだけど…」
私 「ど、どうも」
ゆき「…付き合って。ね?」
その言い方が、すごく甘えん坊なかんじがして正直萌えました。
もういいや、ままよ、と思って、しょうがないな!いいよ!と叫びました。
ゆきは、顔を真っ赤にして「くぅううううう」と耳元で声を絞り出していました。
ゆきは何度も私の手を握ってぶんぶんして、ありがとうを連発していました。
私は恥ずかしくて、苦笑いしながらそれに付き合いました。
その日は、二人で手を繋いで帰りました。ゆきは、スキップでもしそうな浮つきようでしたw
これが、夏休み2週間目くらいのことです。だらだら書いてますが、結構展開が早かったような。
余談ですが、その日の夜おばちゃんとご飯を食べてると、何故か赤飯が出てきました。嫌な予感がしました。
おば「あんた、ゆきと付き合うことになったのねwww」
私 「」
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おば「ゆきのばーちゃんが、近所中に触れ回ってたわwww」
何故言う、ゆき。そして何故広める、お婆ちゃん。
おば「ってか、まだ付き合ってなかったのねwww」
私 「…」
おば「まあ、お幸せにねwwwww」タヒにたかった。
そんなハプニングもありましたが、まあ、順調にゆきと私の交際は始まりました。
かといって、ゆきの女装癖は止みませんでした。
二人でおしゃれをして、お出かけするという奇妙なデートもありましたねw
大体、ゆきの方に視線が集まっていて嫉妬しましたww
トイレから帰ってきたとき、ゆきがナンパされていたこともありました。
ゆきは顔を真っ白にしてキョドってましたw
面白いので、遠くからニヤニヤしながら見てると、ゆきがこっちに気づいて
めちゃくちゃ情けない顔で、助けてーという合図を送ってきました。お腹を抱えて笑っていると
ゆき「す、すみません!あっちに、あの、彼氏、彼氏待たせてるので、行きます、はいっ」
と大声でまくしたて、こっちへダッシュしてきましたw
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彼氏って何だコラ。ナンパ集団は不思議そうにこっちを見てたなw
そんな感じで、ゆきと過ごす時間はこれまでよりももっと楽しいものになっていきました。
が、一つ問題が。私は、どちらかというと、まだゆきのことを「男」として見ていませんでした。
彼氏というより「女装好きの友達」といった位置づけに近かった気がします。今思えば、ゆきに申し訳ないです。
一方ゆきは、やっぱり男の子でした。二人きりで部屋にいると、そわそわしてきます。
いきなり手を握ってきたり、くっついてきたりといって落ち着きがない。
私 「なにw邪魔なんだけどw」
ゆき「うん…」
私 「暑いから離れてよ」
ゆき「いや…」
私 「何?」
ゆき「…私ちゃん、好きです」
私「何だいきなりww」
だいたいこういう流れになると、私は逃げるようにトイレに行ったり台所に逃げたりしていました。
付き合い始めてから、ゆきは私の手を握る以上のことは、できていませんでした。
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なんとなく、私とゆきの間には、そういうことをしてはいけないような雰囲気が流れ始めました。
ゆきはとてつもなく我慢してたんだと思います。
ある日、私は暇だったので、またゆきの部活の見学に行きました。
ある男子が、顔の汗をシャツで拭きました。
腹筋ばきばきのお腹がちらっと見えて、おもわず「おー」と感心していると
ゆきが、見たこともないような暗い目でこっちを睨んできました。
部活の帰り、ゆきは私を置いてすたすた帰ろうとしました。
私 「おーい、ちょっと待って」
ゆき「…」
私 「早い早い、普通に歩いて」
ゆき「…」
私(えっ、キレてる?)
ゆきに、ここまで露骨に無視されるのは初めてだったので、怖くなりました。
無言のまま、ゆきの少し後ろを歩いていると、ゆきが前を向いたまま言いました。
ゆき「私ちゃんさぁー」
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私 「は、はい」
ゆき「…俺の事、本当に好きなの?」
私 「はww」
いきなりの質問に、あたふたしていると、ゆきはイライラしたように頭をかきました。
やっとの思いで「好きだけど」と呟くと
ゆき「本当に?」
私 「うん」
ゆき「じゃあ、態度で示してほしいんだけど」
私 「態度って」
ゆき「だってさ、私の俺に対する対応って友達のころと変わらないじゃん」
私 「そ、そんなことないわ」
ゆき「あるし…なんか、そういう雰囲気にもならないし…」
全身が熱くなりました。私は、ゆきが思ってる以上に子供だったんだと思います。
ゆきのことは素直に好きでした。ただ、なんとなく踏み入った事をするのが怖い気持ちがありました。
家に帰っても、ゆきはいつものように私の家に遊びに来ませんでした。
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モヤモヤして、ゆきにメールをしてみました。
私 「ゆき、今日はなんか怒らせちゃってごめん」
ゆき「怒ってない」
私 「いや、怒ってたじゃん」
ゆき「怒ってたっていうか、悲しくなった」
私 「だから、ごめんなさい」
ゆき「理由分かってないのに謝るの?」
私 「いや」
ゆき「やっぱり私ちゃん、俺より△△先輩みたいなタイプが好みなんじゃない?」
私 「は?何いきなり」
ゆき「だってそうじゃん。今日なんかずっと見てたし」
私 「見てないよ」
ゆき「見てた」
私 「それで怒ってるの?見てないよ」
ゆき「ほら、やっぱり分かってない。何も分かってない」
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私 「もうなんなの」
いつもはふざけてるメールの文面が、めちゃくちゃ殺伐としていました。
だんだん私も、いらいらしてきて口調が攻撃的になりました。
私 「だから好きって言ってるじゃん」
ゆき「信じられない」
私 「なんで!?」
ゆき「だって、付き合ってるなら、もっとベタベタしあうじゃん」
私 「どういうこと」
ゆき「分かってるくせに聞くなよ、そういうとこ嫌い」
私 「は?あんただっていつも遠まわしじゃん、男のくせに女々しいんだけど」
  「確かに、△△先輩のほうがさっぱりして男らしいよね」
この一言に、ゆきは傷ついたようでした。メールがぴたっととまりました。
私はむしゃくしゃして、携帯を放って泣きました。罪悪感でいっぱいでした。
でも、ゆきにどう対応していいか分かりませんでした。
それから、ゆきと顔を合わせずに2日くらい経ちました。
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私も、ぼーっとすることが多くなっていました。停滞期というやつかもしれません。
ゆきのお婆ちゃんが、家に訪ねてきました。野菜のおすそ分けをしてくれました。
玄関に腰掛けて、お婆ちゃんは言いました。
婆「私ちゃん、ゆきと喧口華でもしてるのね?」
私「」
婆「今週の初めくらいから、ゆきが元気ないのよ」
私「ごめんなさい、してます。…私が悪いんです」
婆「いんにゃ、ゆきも自分が悪い自分が悪いって言いよるよ」
私「えっ」
婆「すれ違いねぇ」
お婆ちゃんは、にやにや笑っていました。
婆「あの子ね、小さい頃からね、男らしくないのよ。いつもうじうじしてねぇ」
私「まあ、たしかに」
ゆき婆「だからね、私ちゃんといると、すごく頼もしく見えるのよ」
私「そうですか?」
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婆「そうよ。だから、良かったら、私ちゃんが大人になってリードしてくれんかw」
私「…」
婆「勿論、腹が立つだろうけど、ゆきもゆきなりに私ちゃんを大事に思ってると思うんよ」
 「だから、ゆきと仲直りしてくれんか。ゆきのことを任せられるのは私ちゃんだけなのよ」
ゆき、何ていい婆ちゃんを持ったんだ。涙出てきた。
私「します、します。今すぐにでもします」
涙目になりながら言いましたwお婆ちゃんが帰った後、すぐにゆきの高校へ向かいました。
丁度部活が終わっていたようで、ゆきが俯き加減で校門から出てきました。
突進しました。思いっきりタックルすると、ゆきはしりもちをつきました。
私 「よう」
ゆき「!!!??」
私 「お前のばあちゃん嫁にくれよ」
ゆき「は、え?は?」
私 「ごめんなさい」
私は校門の前でおもいっきり土下座しましたw人に見られてなくてよかったw
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ゆき「えっ、えっ」
私 「ゆきのアピール無視してごめんなさい。男として見なくてごめんなさい」
  「ゆき、先輩よりずっと格好いいよ」
ゆき「ちょww顔あげて」
私 「ゆき愛してるよ」
ゆき「うん、うんww俺もwwだから止めて、脚火傷するよww」
ゆきに引張り上げられました。アスファルトあつい。
私 「ゆき婆が、仲直りしてやってくれって」
ゆき「ばあああああああちゃあああああああああん」
私 「めっちゃ良い女ですね」
ゆき「あー…」
私 「ちゃんと話し合うか」
ゆき「うん。俺も、ごめん。我儘言ってごめん」
それから、二人で歩きながら自分達の気持ちを話し合いました。
私は素直に、ゆきのことは好きだけど、そういう行為に少し抵抗感があると告げました。
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ゆきは真剣に聞いてくれました。
私は、ただ、ゆきに魅力がないということではないと付け加えました。
女装のことが気になってる訳じゃない、と。
まあ言ってしまえば、私の恋愛に対する抵抗感は母の前の恋人が原因だったんですよね。
詳しいことは伏せますが。そういうことも、ちゃんとゆきに話しました。
ゆきは、納得したようでした。
私ちゃんがそういう気持ちになるまで、ちゃんと待ちたいと言ってくれました。
そのあと、二人でアイスを食べながら、神社の近くでだべりました。
ゆきは、喧口華した日から全然部活に集中できなかったと漏らしました。
私 「精神弱っ」
ゆき「いやいや、だって思いっきりこけちゃったもん。膝見てよ」
ゆきの膝には、大きい絆創膏が張ってありました。私はふざけて、そこに触れました。
ゆきの体が強張りました。痛いの?と聞くと、いや、別にと歯切れが悪い。
ゆきは、真っ赤になっていました。
その顔を見ていたら、どうしようもなく、胸がぎゅーっとなる感じがしました。
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ゆきが好きなんだな、と思いました。
絆創膏から手を離して、ゆきのほっぺたを触りました。
ゆきはびくっとなり「汗かいてるよ」と言いました。
気にせず、ほっぺたをぷにぷにしまくりました。
ゆきは、目を逸らしながらもじもじしていました。
そっと顔を近づけると、またびくっとなりました。
もうなんか、暑さにやられて私はゆきにキスをしました。
勢い良くしたので、歯と唇が当たって痛かったwしかも眼鏡のままなので、ずれたしw
ゆきは驚いたように目を見開いていました。私ははっとして、顔を離しました。
私 「ごごごごごごめん」
ゆき「い、いや、いいけど、いいけど」
私 「なんか、ほら、暑いから。暑いから」
ゆき「うん、そうだね、うん」
私はごめんごめんと呟きながら顔を背けました。
ゆきも反対を向きました。けど、すぐこっちを向いて
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ゆき「私ちゃん、平気なの?」
私 「は、はい?」
ゆき「俺にちゅーしても、平気なの?」
私 「い、いや。うん、別に」
ゆき「そっかー。嬉しい」
ゆきはふにゃっと笑いました。恥ずかしくて、顔中に汗が噴出してきました。
今度はゆきが、私の髪や耳を触ってきました。そっぽを向く私に優しく言いました。
ゆき「良かったら、こっち向いてくれない?」
私 「…」
ゆき「私ちゃーん」
下を向いたまま、ゆきのほうに顔をむけました。ゆきが顎を優しく掴んできました。
びっくりして「うおっ」と叫ぶと、ちょっとふきだしていました。
顎を持ち上げられて、眼鏡を外されました。ゆきがまた、キスしてきました。
この前のように唇を噛まれて、音を立ててきました。
くすぐったくて、逃げようとすると、頭を押さえられました。
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ゆきが小さい声で、口を開けてほしいと言ってきました。
なんで、と言おうとして口を開けると、ゆきがいきなり舌を入れてきました。
うお!?って感じでした。ゆきは荒い呼吸をしながら、私の舌に自分のをこすりつけました。
ちょっと、不覚にも、ちょっとだけとろんってなりました。力が抜けました。
ゆきは女の子みたいな、甘えた声で喘ぐみたいにしながら何回も何回もキスしました。
私はずっと、硬直していたと思います。しばらくして、ゆきは顔を離しました。
目が、見たことないくらいとろんとしていて、面白かったです。
ゆきは私の髪に顔をうずめて、ぎゅーっとしてきました。
ゆき「苦しかった?」
私 「いや、うん、別に」
ゆき「しちゃったね、ちゅー」
私 「うんw」
なんとなく、おかしくて、二人で笑いました。まあ、そんなこんなで仲直り。
ゆきは今まで以上に私にあまえるようになりました。
私も、ちゅーの一件以来、あまり遠慮がなくなったと思います。
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人生の中で、一番楽しくて、充実した夏でした。
海も行ったし、バスケの試合も観に行ったし、まあ余談ですが本当の意味での脱喪?もしたりして。
一ヶ月はびっくりするぐらい、早く過ぎました。母が退院し、私も帰ることになりました。
夏休みが終わって欲しくなかったです、正直。
私が帰る日、ゆきはあの日と同じように、拗ねて玄関に立っていました。
ゆき「もう帰っちゃうの」
私 「うんw帰るww」
ゆき「タヒにそうなほど寂しいんだけど」
私 「うん、そうだね」
ゆき「…楽しかったねー」
私 「うん」
ゆき「…」
私 「…」
ゆき「ここに住めばいいのに」
私 「あはは」
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ゆき「…はー」
泣くなゆき。お願いだから泣かないでくれ。
荷物を全部まとめ、おばちゃんとゆき婆と、近所の人に挨拶をして、
お婆ちゃんが号泣しながら、ゆきの背中を小突いて、ゆきを押し出しました。
ゆきは赤い目をしながら、送ってくとぶっきらぼうに言いました。
二人で並んで、蒸し暑い道を歩きました。途中、ゆきが乱暴に手を握ってきました。
蝉の声とか、田んぼの咽かえるみたいな土の匂いとか、ゆきの汗ばんだ手とか
そういうものとは全部お別れなんだなー、と思うと
やっぱり我慢できなくて、私はしゃっくり上げながら泣いてしまいました。
ゆきも、触発されたように泣きはじめました。二人でわんわん泣きながら、バス停まで歩きました。
バス停で鼻をかんでいると、ゆきが言いました。
ゆき「私ちゃんさぁ」
私 「なんよ」
ゆき「前引っ越す時、全然泣いてなかったのにさぁ」
私 「うるさい」
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ゆき「あのさー」
私 「なんよ」
ゆき「私ちゃん、服何か一着でもいいからちょうだい。あの時みたいに」
私は、少し考えて、バッグの中からブラウスを取り出して、ゆきに渡しました。
ゆきは、受け取って、涙声でありがと、と言いました。
そして何を思ったのか、自分の着ていたTシャツを脱ぎました。
私 「ちょちょちょちょwww」
映画みたいな感動のシーンで何やってんだこいつww鼻水でたわwww
ゆき「お゛れも、あげるわ゛…」
私 「いらねぇえwww変態www」
ゆき「そう言わんで、もらっでよ゛ぉ」
私 「wwwwおまわりさんwwww」
私は仕方なく、ゆきのちょっと湿ったシャツを受け取りました。
ゆきの奇行に爆笑してるとバスが来ました。
立ち上がると、ゆきがまた手を握ってきました。
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私 「バス来ちゃうよ」
ゆき「私ちゃん、ばいばい゛」
私 「うん、ばいばい。メールしようね」
ゆき「うっ、浮キっ、しないでっ、ねっ」
私 「あほかwwしないわwwwってか、しゃっくりで何言ってるか分かんないよww」
ゆき「まだっ、来て、ねっ」
私 「うん。来る。絶対来る」
バスが止まって、ドアが開きました。私は一回だけ、ゆきをぎゅうっと抱きしめました。
これ以上うだうだしていたら、二度と戻れない気がして、さっさとバスに乗り込みました。
ゆきは、涙でぐちゃぐちゃの顔でドアごしから何か叫びました。
私は急いでバスの後ろの席に行って、彼に手を振りました。
ゆきは手がちぎれるくらい、ぶんぶん振っていました。
その姿がすごく情けなくて、切なくて、泣きました。
バスの席に座りなおして、なんだこれドラマかと思いながらも、それでも涙を止める事ができませんでした。
しかし五分後、そこにはバスの座席で爆睡する私の姿が…!!
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いえ、何か泣きつかれて寝てしまいましたw
バスを降りて携帯を見た途端、ゆきからの大量のメールがあり、ちょっと引きました。すまん、ゆきw
余談。
結論から言うと、ゆきとの交際は今でも続いてますw
私は今20で、地元の大学に通っています。
ゆきと同じ大学に行きたくて頑張りましたww
この長ったらしい話を書こうと思ったのは、
この間、ゆきと一緒に使ってるクローゼットから例のスカートとブラウスが出てきたからです。
ちなみに奴の女装癖は今でも健在です。かわいいです。
そんな、妹みたいな、友達みたいな、私の大事な男の子の話でしたw終わりです!!!